生成AIの業務活用|中小企業の始め方とプロンプトの型5つ
「ChatGPTが仕事に使えるとは聞くけど、何をどう頼めばいいのか分からない」
そんな声を、中小企業の経営者や実務担当の方からよく聞きます。試しに触ってみたものの、思ったような答えが返ってこなくて、そのまま使わなくなってしまった。そんな方も多いのではないでしょうか。
実は、生成AIは「任せる業務の選び方」と「頼み方の型」さえ押さえれば、今日からでも仕事の道具になります。
この記事では、大手企業のAI活用支援にも関わっているエンジニアの立場から、中小企業が生成AIの業務活用を始めるための具体的な手順を解説します。コピペで使えるプロンプト(AIへの指示文)の例つきです。
まず任せるべき業務は3種類
生成AIが得意な業務は、大きく次の3つに分けられます。最初はここから始めるのが定石です。
| 業務の種類 | 具体例 | 向いている理由 |
|---|---|---|
| 文章作成 | メール返信、案内文、求人票、ブログ下書き | たたき台を数十秒で作れる |
| 要約・分類 | 議事録の要約、問い合わせの仕分け | 長文処理が速く、抜け漏れが少ない |
| 下調べ | 競合調査の観点出し、企画のアイデア出し | 選択肢を幅広く挙げてくれる |
共通するのは「ゼロから考えると時間がかかるが、たたき台があれば速く終わる仕事」です。逆に、最終判断や責任が伴う仕事(契約条件の決定など)は任せないのが基本です。
自社のどの業務が当てはまるか迷う方は、自動化できる業務のチェックリストも参考にしてみてください。
コピペで使えるプロンプトの型5つ
生成AIの答えの質は、頼み方でほぼ決まります。次の5つの型を覚えれば十分です。
型1: 役割を与える
最初に「あなたは〜です」と役割を指定すると、答えの視点が定まります。
あなたは中小企業の採用担当者です。事務スタッフの求人票の文面を作ってください。
型2: 手順を先に書かせる
いきなり成果物を作らせず、進め方を先に出させると精度が上がります。
新サービスの案内メールを作りたいです。まず、書く前に構成案を3パターン示してください。私が選んでから本文を書いてください。
型3: 例を見せる
過去の文章を1つ貼るだけで、文体やトーンを揃えてくれます。
以下は当社が普段使っているお礼メールの例です。この文体に合わせて、納品完了の連絡メールを書いてください。 (ここに過去のメールを貼る)
型4: 形式を指定する
「表で」「箇条書きで」「200字以内で」と指定すると、そのまま使える形で返ってきます。
この議事録を要約してください。形式は「決定事項」「宿題」「次回の議題」の3つの見出しで、それぞれ箇条書きにしてください。
型5: 自己チェックさせる
書かせたあとに、自分で見直させる一文を足すと品質が安定します。
上の文章を、誤字脱字・敬語の誤り・分かりにくい表現の3点で自己チェックし、修正版を出してください。
この5つは組み合わせて使えます。「役割+例+形式」の3点セットだけでも、体感がかなり変わるはずです。
やってはいけない使い方3つ
始め方と同じくらい大事なのが、避けるべき使い方です。
- 機密情報をそのまま入力する — 顧客の個人情報や取引条件は、原則入力しないルールを先に決めます。使う場合は、入力データを学習に使わない設定やプランを選ぶのが目安です。
- 出力を鵜呑みにする — 生成AIはもっともらしい間違いを平気で書きます。数字・固有名詞・法律に関わる内容は、人が確認してから使うのが前提です。
- ツール選びから入る — 「どのAIツールを買うか」から検討を始めると、現場で使われずに終わりがちです。まず無料〜低額プランで上の3業務を試し、効果を見てから広げる順番をおすすめします。
このあたりでつまずくパターンは、AI導入がうまくいかない会社の共通点で詳しく解説しています。
個人利用の次は「業務フローへの組み込み」
チャット画面で使うのは、生成AI活用の第一段階です。慣れてきたら、次の段階として業務フローへの組み込みがあります。
例えば、こんな形です。
- 問い合わせメールが届いたら、AIが自動で要約・分類してスプレッドシートに記録する
- 日報を送ると、AIが週次レポートの下書きを自動でまとめる
これはAPI連携(システム同士をつなぐ仕組み)を使った自動化で、人がAIに毎回頼まなくても、決まった処理が勝手に回るようになります。私自身も、オンライン秘書会社の業務自動化や、打刻から明細PDF発行までを一気通貫にした報酬管理アプリの開発など、この段階の支援を本業にしています。
費用の目安は、単機能ツールで5〜10万円、複数サービスの連携で15万円〜が多いです。ただし、まずは個人利用で「どの業務に効くか」を見極めてからで十分です。全体の進め方は中小企業のDXを90日で進めるプランにまとめています。
よくある質問
Q. ChatGPTとClaude、どちらを使えばいいですか?
A. まずはどちらか一方で構いません。両方とも無料で試せるので、自社でよく書く文章を同じ指示で書かせて、しっくりくる方を選ぶのが手軽です。長文の要約や日本語の自然さを重視するならClaudeを好む方も多い印象です。
Q. 社員に使わせるとき、何から決めればいいですか?
A. 最低限「入力してはいけない情報」のルールを1枚にまとめることから始めるのがおすすめです。細かいマニュアルより、上で紹介したプロンプトの型5つを社内チャットで共有するほうが定着しやすいです。
Q. 月いくらくらいかかりますか?
A. 個人利用なら1人あたり月3,000円程度の有料プランが目安です。まず経営者や実務のキーパーソン1〜2人分から始めて、効果が見えたら広げる形が無理のない進め方です。
まとめ
- 生成AIにまず任せるのは「文章作成」「要約・分類」「下調べ」の3種類
- 頼み方は5つの型(役割・手順・例・形式・自己チェック)を押さえれば十分
- 機密情報の入力・出力の鵜呑み・ツール選びから入る導入は避ける
- 慣れたら次の段階として、API連携で業務フローに組み込む自動化がある
「うちの業務だと、どこから生成AIを使えばいいのか」と迷ったら、現状の業務内容を伺ったうえで具体的な始め方をご提案しますので、お気軽にご相談ください。