勤怠管理アプリは自作と外注どっち?自社仕様で作る費用と流れ

公開: 2026年7月19日/ 書いた人: ヤスユキ(現役エンジニア)

勤怠管理業務自動化システム開発外注

「市販の勤怠システムを試したけど、うちの働き方に合わない」 「打刻だけじゃなくて、報酬計算まで一気にやってほしいのに」

そんなモヤモヤを抱えていませんか。

勤怠管理システムは世の中にたくさんあります。それでも「自社の運用にピッタリ合うものがない」という声は意外と多いです。特に、業務委託のメンバーが中心の会社や、働き方が変則的な会社ほどこの悩みは深くなります。

この記事では、市販の勤怠システムが合わないのはどんなケースか、自社仕様のアプリを「自作」するか「外注」するかの判断基準、外注した場合の費用目安と開発の流れを、実際の開発事例を交えて解説します。

市販の勤怠システムが「合わない」3つのケース

まず前提として、市販の勤怠システムは「正社員の労務管理」を想定して作られているものが多いです。そのため、次のようなケースでは無理が出やすくなります。

1. 業務委託メンバーが中心

正社員向けのシステムは「出勤・退勤・残業時間」を管理する設計です。一方、業務委託の場合に知りたいのは「誰が・どの案件に・何時間稼働したか」。管理したい単位がそもそも違うので、市販システムだと項目が合わず、結局スプレッドシートで別管理…という二度手間になりがちです。

2. 働き方が変則的

複数案件のかけもち、深夜や早朝の短時間稼働、月ごとに変わる稼働形態など。固定のシフト概念に当てはまらない働き方は、市販システムの設定でカバーしきれないことが多いです。なお、シフト作成そのものの自動化は別テーマなので、シフト管理の自動化の記事にまとめています。

3. 報酬計算・明細発行まで一体化したい

これが一番多い相談です。勤怠の記録はできても、そこから先の「稼働集計→単価をかけて報酬計算→明細を作って送る」は手作業のまま。勤怠システムと給与ソフトの間を、毎月人間がコピペでつないでいる状態です。

「打刻データはあるのに、月末の報酬計算に丸2日かかる」

こうなっているなら、勤怠だけでなく「その後の流れごと」自社仕様で作る価値があります。

自作(内製)と外注、どちらを選ぶか

自社仕様の勤怠管理アプリを作る方法は、大きく2つです。社内で作る「自作(内製)」と、開発者に頼む「外注」。それぞれの向き不向きを整理します。

比較軸 自作(内製) 外注
初期費用 安い(人件費のみ) 30万円〜が目安
完成までの期間 長くなりがち 1〜3ヶ月程度が多い
担当者の負担 大きい(本業と両立) 小さい
品質・保守性 作った人に依存 開発者が担保
向いているケース ITに強い人が社内にいる 社内にIT人材がいない・本業に集中したい

自作の最大のリスクは「作った人しか触れないシステム」になることです。担当者が忙しくなったり退職したりすると、誰も直せないツールが残ります。

一方で、まずはスプレッドシートと簡単な仕組みで小さく始める、という中間の選択肢もあります。GoogleのGAS(スプレッドシートを自動で動かす仕組み)を使った小規模な自動化なら、費用も抑えられます。ツール選びで迷う場合はExcel VBAとGASどちらを選ぶかの記事も参考にしてください。

実例:打刻から明細PDF発行まで一気通貫の報酬管理アプリ

私が実際に開発し、現在も本番運用中の事例を紹介します。

オンライン秘書サービスを運営する事業者様からのご依頼で、業務委託スタッフの稼働管理と報酬計算をまとめたWebアプリを構築しました。流れは次の通りです。

  1. 打刻:スタッフがWebアプリ上で稼働開始・終了を記録
  2. 稼働集計:案件ごと・スタッフごとの稼働時間を自動で集計
  3. 月次承認:管理者が画面上で確認して承認
  4. 明細PDF発行:承認された内容から報酬明細のPDFを自動生成
  5. メール送信:各スタッフへ明細を自動でメール送付

ポイントは、市販の勤怠システムでは分断されがちな「打刻→集計→承認→明細→送付」を1つのアプリでつなげたことです。月末に発生していたコピペと転記の作業がなくなり、管理者は「確認して承認する」ことに集中できるようになりました。

このアプリの報酬計算部分を掘り下げた話は、報酬計算を1クリックにした事例記事で詳しく書いています。

外注する場合の費用目安と開発の流れ

費用の目安

開発内容によって幅がありますが、目安は次の通りです。

内容 費用の目安
打刻・集計だけの単機能ツール 5〜10万円
集計+通知など複数の連携 15万円〜
打刻→承認→明細発行までのシステム構築 30万円〜
運用開始後の保守(月額) 3〜10万円

市販システムの月額課金と違い、外注開発は初期費用が中心です。人数が増えても月額が跳ね上がらないのは、自社仕様で作る利点の1つです。相場の考え方の全体像は自動化の外注費用相場の記事にまとめています。

開発の流れ

外注した場合の一般的な流れです。

  1. ヒアリング:今の勤怠管理の流れと困りごとを整理
  2. 要件のすり合わせ:どこまで自動化するか範囲を決める
  3. 開発・中間確認:作りながら画面を見てもらい調整
  4. テスト運用:実データで1ヶ月ほど並行運用するのが安心です
  5. 本番運用・保守:運用しながら細かい改善

規模にもよりますが、着手から本番運用まで1〜3ヶ月程度が目安です。

市販システムで足りるなら、市販を選ぶべきです

正直にお伝えすると、自社開発が常に正解ではありません。

こうしたケースは、市販の勤怠システムのほうが安く、法改正への対応も任せられます。無料プランのあるサービスから試すのがおすすめです。

自社開発を検討すべきなのは、「市販を2つ以上試したが運用に合わなかった」「勤怠の先にある報酬計算や明細発行まで含めて自動化したい」場合です。この線引きを間違えると費用が無駄になるので、迷ったら開発者に相談する前段階で率直に聞いてしまうのが早いです。私も「それは市販で十分ですよ」とお答えすることがあります。

よくある質問

Q. スプレッドシートで管理している今の勤怠データは引き継げますか?

A. 多くの場合、引き継げます。既存のスプレッドシートをそのまま裏側のデータベースとして活かす構成にすることも可能です。現在の管理方法を無理に捨てる必要はありません。

Q. スタッフがITに不慣れでも使えますか?

A. 使う人のITレベルに合わせて画面を設計できるのが、自社仕様で作る利点です。「ボタンを押すだけ」の打刻画面にするなど、操作を最小限にする設計がおすすめです。

Q. 作った後、追加の機能をお願いすることはできますか?

A. 可能です。むしろ最初から全部作り込むより、まず打刻と集計だけ作って運用し、必要になった機能を足していくほうが失敗しにくいです。

まとめ

「うちの場合は市販と自社開発どちらがいいのか」という段階のご相談でも大丈夫ですので、現在の勤怠管理の流れを添えてお気軽にお問い合わせください。

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