業務ツールを2日で本番公開した話|AIエージェント開発の実際の進め方
「AIで開発が速くなる」とよく言われますが、実際のところ何がどう変わるのか。先日、構想から2日で業務用のWebツールを本番公開した開発の進め方を、実例として公開します。
作ったのは店舗ビジネス向けの出店診断ツールです。物件情報をコピペすると、公的データと市場データを自動で突き合わせ、約10秒で「どの用途に向いた物件か・採算は合うか・賃料は割安か」の診断帳票を返します。
体制:人間は「設計と検品」、AIは「実装」
今回の開発は、役割を明確に分けました。
| 役割 | 担当 | 具体的な仕事 |
|---|---|---|
| 要件・設計 | 人間+上位AI | 何を作るか、判断ロジック、データの選定 |
| 実装・テスト | AIエージェント | コーディング、デプロイ、動作確認 |
| 品質管理 | 人間+上位AI | 納品物の検品、実データでの検算、差し戻し |
ポイントは、AIに丸投げしないことです。実装はAIエージェントが驚くほど速く正確にこなしますが、「そもそも何を作るべきか」「この計算結果は業務的に正しいか」の判断は設計側の仕事です。実際、開発中にAIの実装ミスを検品で3件見つけて差し戻し、逆に設計側(人間側)の計算ミスをAIが指摘してきた場面もありました。お互いに検算し合う体制が品質を作ります。
進め方:小さく作って、実データで殴る
2日間の流れはこうです。
- 半日:コマンドラインで動く計算エンジンを作り、実在の物件データで検算
- 半日:Web化して本番サーバーに公開(この時点では見た目も機能も粗い)
- 1日:改善ループ。実際に使っては直すを10回以上繰り返す
重要なのは3の改善ループです。「入力欄が多すぎる。コピペだけで完結させたい」「この数字の意味が分からない」——実際に触って出た違和感を、その日のうちに修正して再公開する。AIエージェントが実装を担うため、1つの改善が数十分で本番に反映されます。従来なら1〜2週間の改修サイクルが、同日中に回るのです。
もう一つのこだわりは、ダミーデータではなく実データで検証することです。実在の住所・実在の物件で診断を回すと、机上では気づかない問題が次々に出ます。「この駅だと相場データが取れない」「この表記の物件票が読み取れない」——本番公開前にこれを潰せるかが、業務ツールの信頼性を分けます。
AI開発で品質を保つ3つのルール
この2日間で効いた運用ルールを共有します。
- 設計書を唯一の正とする。AIへの指示は口頭的なチャットではなく、設計書を更新してから「この節のとおり実装して」と渡す。仕様のブレがなくなります
- 検品なしで受け取らない。AIの完了報告は必ず別の目(人間または別のAI)で実データ検証する。今回も「報告では動いていたが、実は特定操作でだけ壊れる」ケースを検品で捕まえました
- 不確かな数字は不確かなまま見せる。推定値には「推定」と明記し、データが粗い場合は断定表現を出さない。ツールの信頼は「当たること」より「嘘をつかないこと」で決まります
費用感:この規模でどれくらいか
今回のツールは「外部データ連携+診断ロジック+Web画面+データベース」の構成です。従来の受託開発なら1〜2ヶ月・50万円以上の規模感ですが、AIエージェント体制なら開発期間は数日、費用は数分の一が現実的になっています。相場観は業務自動化の外注費用の相場も参考にしてください。
よくある質問
Q. AIが作ったコードは信用できますか?
A. 「AIが書いたか人が書いたか」より「検品プロセスがあるか」が本質です。今回は全機能を実データで検算し、計算エンジンは修正のたびに過去の結果と突き合わせる回帰テストを通しています。
Q. 完成後の修正や機能追加は?
A. むしろAI開発の得意分野です。今回も公開後に「入力をコピペだけにしたい」等の要望を受けて、当日中に本番反映しています。使いながら育てる前提の開発に向いています。
Q. どんな業務がこの進め方に向いていますか?
A. 「人がデータを集めて・計算して・レポートにする」型の業務全般です。診断・見積り・査定・レポート作成などは、今回とほぼ同じ構成で自動化できます。
まとめ
- 業務用の診断Webツールを、構想から2日で本番公開しました
- 人間と上位AIが設計・品質管理、AIエージェントが実装という分業が速度と品質を両立させます
- 改善ループが同日中に回るため、「使いながら育てる」開発が現実になりました
- 品質の要は、設計書を正とすること・検品なしで受け取らないこと・不確かな数字を断定しないことです
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